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ロングコートダディ堂前

3月24日(火) 3ヶ月ほどやってきたドラクエがついに終わりを迎えようとしていた。 ラスボスの前までやってきたのだ。 一度コントローラーを置き、トイレにいく。 これまでの冒険の思い出に浸りながら 便器を濡らす。 テーブルに飲み物もセット。 準備はオッケー。このワクワク感は大人になっても廃れることはない。 万全の状態でラスボスに立ち向かおうとしたその時、 インターホンが鳴った。 仕方なく玄関へと向かい、玄関のドアを開ける。 そこには作業着を着た知らない男が立っていた。 その男は、ケーブルテレビの電波チェックをしたいらしく、家に上がらせてほしいとのこと。 僕は 「まずお前の頭の電波をチェックしてこい」 と言おうとしたが、怖くて言えなかった。 仕方なく、男を部屋にあげることに。 男がテレビ画面に気付く。 僕は「あ、もしかしてゲームしてたら電波チェックできないですか?」と聞くと 男は 「いえ、それは大丈夫なんですが…」 と言い、そして 「もしかして…ラスボスですか?」と聞いてきた。 僕が 「はい、ラスボスです」と言うと 男は 「戦ってるとこ、見させてもらってもいいですか…?」 と言ってきた。 僕はなんだか嬉しくなって 「べべ、別に良いですけど…」と 頬を赤らめながら言った。 すると、再びインターホンが鳴った。 玄関に行くと ウーバーイーツの人がいた。 頼んだのを忘れていた。 ウーバーイーツの人は 「部屋までお持ちしますね」と言い部屋の中に入ってきた。 ウーバーイーツの人がテレビ画面に気付き、 「もしかして…ラスボスですか? あの…戦ってるとこ、見させてもらっていいですか?」 と言ってきた。 僕は 「べ、別に良いですけど」 と頬を赤らめながら言った。 その後、同じような感じで ギャラリーが7人に増えた。 電波チェックの人、ウーバーイーツの人、大家さん、泥棒、隣の部屋の人、宗教勧誘するおばさん、素人宅に突撃訪問するAV女優の7人だ。 ドラクエのパーティがちょうど8人なので、それぞれに役割を当てはめてみては…?という提案を 大家さんが言ってきたので、やってみることに。 まずは僕が勇者に決定。 魔法使いは、宗教勧誘するおばさんに。 電波チェックの人はイケメンだったので剣士に。 ウーバーイーツの人は旅芸人。 大家さんが賢者。 隣の部屋の人が格闘家。 素人宅に突撃訪問するAV女優は僧侶。 泥棒が盗賊。 ということになった。 そして、ラスボス戦が始まった。 みんな、自分のキャラがダメージを負った時に 「ぐわっ!」とか言ってくれる。 攻撃する時も 「くらえー!」などと言う。 キャラが死んでしまったりすると、本当に倒れて何も喋らなくなる。 途中、宗教勧誘するおばさんがテンション上がりすぎて 「くっ、◯◯教(おばさんが入っている宗教)の力…見せてやるわ!!!」 と言ったときは みな少し黙ってしまった。 そして、なんとかラスボスを倒すことに成功した。 倒した瞬間、みな本気で喜びあった。 「いや~楽しかったです。お疲れさまでした!」とみんなゾロゾロ帰っていった。 みんな帰った後めちゃくちゃ寂しかった。

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