見城徹見城徹2017年12月04日 10:43 ぼくはでてゆく 冬の圧力の真むこうへ ひとりっきりで耐えられないから たくさんのひとと手をつなぐというのは嘘だから ひとりっきりで抗争できないから たくさんのひとと手をつなぐというのは卑怯だから ぼくはでてゆく すべての時刻がむこうがわに加担しても ぼくたちがしはらったものを ずっと以前のぶんまでとりかえすために すでにいらなくなったものはそれを思いしらせるために ちいさなやさしい群よ みんなは思い出のひとつひとつだ ぼくはでてゆく 嫌悪のひとつひとつに出遇うために ぼくはでてゆく 無数の敵のどまん中へ ぼくは疲れている がぼくの瞋りは無尽蔵だ ーー吉本隆明[ちひさな群への挨拶]より抜粋