ログイン
詳細
見城徹

その時、一同の目が参道の方へ流れる。 広能が真っ直ぐ霊前に向かって入ってくる。 その異様に殺気走った表情に、声を呑んで見迎える山守、槇原や大久保、村岡たち。 広能、周囲を無視して霊前に立ち、じっと坂井の写真を見上げる。 広能 「鉄つあんーあんた、こがなことして貰おうてて、満足かー満足じゃないよ、のうーわしも、おんなじじゃー」 いきなり内ポケットから拳銃を抜き出し、射つ。香炉を吹ッ飛ばし、供物の花を吹ッ飛ばし、燈明を吹ッ飛ばす。 茫然と見守るのみの一同。 山守 「広能ッ、おまえ、腹くくった上でやっとるんかッ‼︎」 拳銃を持ったまま山守を振り向く広能。 広能 「山守さんー弾はまだ残っとるがようー」 山守 「ーーー‼︎」 広能、拳銃を蔵い、参会者には一瞥もくれず、踵を返して参道を戻ってゆく。 シン、と見送る一同の視線の中で、不敵に歩み去ってゆく広能。その、孤独な、殺意に充ちた顔にーー〈「仁義なき戦い」エンドマーク〉

前へ次へ
見城徹のトーク
トーク情報