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見城徹

僕は編集者に成り立ての頃、高校時代から読み耽っていた五木寛之や石原慎太郎と仕事をしたいと強く願った。当時、新しく登場して来た中上健次、村上龍、宮本輝、つかこうへいらに熱狂し、自分の手で本を作りたかった。人気絶頂だった坂本龍一、松任谷由実、尾崎豊らのミュージシャンの頭の中を本にしたかった。小学館から単行本として出版され、ベストセラーになっていた矢沢永吉の[成りあがり]を角川文庫に強奪したかった。圧倒的努力をし、無理を強引に通し、不可能を可能にして、それら全てを次々と実現して行った。苛酷に立ち向かう覚悟。絶望に耐える意思。不安と恐怖と葛藤の日々。そんな地獄を支えたのはたった一人の熱狂だった。迸る熱狂が地獄を吹き飛ばした。 編集者になった木内にその熱狂はあるのか?地獄を往く意志はあるのか?木内の顔にはまだ、苛酷を経た傷が刻印されていない。ただチャラチャラしているミーハーだ。圧倒的努力など一つもない。

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